11.源仲正名月の歌碑

月見堂は本来薬師堂であるが、眺望がよく、かつて文人等がここで中秋の名月を賞したといわれる。

それは、ここに歌碑のある源仲正の秋の月にちなんでのことで、このあたりの谷川の水を集めて天竜川にそそぐ阿智川を、別に月川と呼んだのも園原が月の名所であったことによるものである。

歌碑は満月をかたどった円形で、表面に、
木賊刈るそのはら山のこの間よりみがかれいづる秋の夜の月
源仲正

とあり、この地の特産で、園原の枕言葉でもある木賊で磨きあげたかと思われる月の出を詠んだもの。(信濃の三名月の一つと言われている)

この歌は鎌倉時代末期に編纂された「夫木和歌抄」のあるもので、四区は「みがきいでぬる」が原作であるが、後世になり「みがかれいづる」と改作されて流布したといわれる。

源仲正は平安末期の歌人で原三位頼政の父親である。

また、謡曲の「木賊」別名「木賊刈」や長唄の「木賊」はこの地が舞台である。

碑の裏には「園原名所」として、
神の御坂、日本杉、腰掛石、箒木、駒繋桜、朝日松、金鶏跡、千代の沢、伏屋の里、姿見の池、長者屋敷、闇白滝、木賊山、月見堂、富士見台、恵那の雪、川合陵、弓俟の紅葉、網掛峠、矢平関跡、夜烏山、将軍塚、黄金岩、鶴巻淵、
以上二十四か所をあげている。

この碑は明治三十五年建立、筆者は北原阿智之助である。rekishi_p11